脳梗塞・脳出血や整形外科疾患の後遺症に対する新しいリハビリ方法である認知運動療法(認知神経リハビリテーション)の紹介。 麻痺や痛み・しびれの回復へ向けた日々の取り組みや基本的な考え方の紹介、相談コーナーもあります。

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これまで、認知運動療法の基本概念から規範などを整理してきました

どのような訓練を行うかを決定するためには、

病態観察のプロフィールを作成することが求められます

今回は、病態観察のプロフィールを作成する過程でまとめられる、

リハビリテーションカルテについてです

これまでの集大成です

これまでまとめてきた「認知運動療法の基本概念から訓練のためのプロフィール作成へ」 の

①から⑨の過程を理解することによって、

認知運動療法の臨床実践が可能になるのではと考えます


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観察から訓練にいたる病態観察のプロフィール」で述べた病態観察のプロフィールを作成する一連の過程は、

リハビリテーションカルテにまとめられます

記載される各項目についての概略を以下に述べます

項目


〈どのように見えるか〉、〈自発的に行えること〉、〈どのようにして動くのか〉、〈特異的な運動〉の項目は、

認知過程の結果として現れる運動や意識経験についてであり、

前述した三人称の観察一人称の観察を記載します

それ以下の項目は、運動や意識経験の異常を生み出す認知過程についてであり、

システムとしての関係性に注意して記載します


〈面接〉

まず、訓練を行う上で、コミュニケーションの手段として言語による表現が可能かどうかを評価します

また、発症時から現在に至る記憶や、自らの障害や身体についてなど、

さまざまなことを聴取することによって、

患者の認知過程の問題を大まかに予測することが可能となると考えます

そして、これまでの生活や職歴について聴取することも患者の認知過程の把握には重要となると考えます


〈どのように見えるか〉

患者の姿勢や身体の動きなど直接的に目に見える様子を記録していきます

また、姿勢や身体の動きの異常を認める際には、

身体と床との接触面や身体の安定感

動きのなめらかさなどについて、

どのように感じているのかといった一人称の観察を行うことが重要になると考えます


〈自発的に行えること〉

患者の随意運動を把握するために記録されます

それが、どの程度可能かということに加え、

特異的病理の出現についても明確に観察することが重要になります

この時も、運動の行い易さや、運動の困難感についてどのように感じているのかといった

一人称の観察を行うことが重要になると考えます


〈どのようにして動くのか〉

治療の対象となる動作について、

どのような問題が生じているかについて三人称の観察を行うと共に、

身体と床との接触面や動作の安定感についてなどの一人称の観察を行います


〈特異的な運動〉

運動の特異的病理とは、脳損傷による障害の場合は、

「伸張反射の異常」

「放散反応」

「原始的運動スキーマ」

「運動単位の量的・質的な動員異常」


が挙げられます

「どのようにして動くのか」によって観察された運動の異常が、

どのような特異的病理によるものかを明らかにします

動作の観察に加えて、座位や臥位において他動的・自動的な運動を行うことで

特異的病理を明確に分類します


ここまでは、認知過程の結果として表れる運動や意識経験についての観察になると考えます

「動く」ためには「認知する」ことが必要であり、観察から訓練に向けて、

認知過程のネガティブ因子を克服するためのポジティブ因子

という一貫した視点で記載することが重要になると考えます

認知過程の各項目の関係性について、

ネガティブ因子とそれに対応するポジティブ因子を例に挙げる共に、

認知問題を通じてネガティブ因子とポジティブ因子が挙げられる過程の例を以下に挙げます

あくまでひとつの例であり、症例によって異なるので注意してください


〈どのように認知するのか〉

運動覚や触覚・圧覚といった感覚モダリティの種類に関わらず、

共通して重要なことは、知覚仮説と特異的病理の関係であると考えます

運動覚や触覚・圧覚の差異をどれだけ認知できているかということだけではなく、

そのときにどのような知覚仮説をたてているのかということと、

特異的病理の有無を厳密に評価することが重要となると考えます

認知問題を通じて、どのようなネガティブ因子に対して、

どのようなポジティブ因子によって克服するのか
を明らかにすることが求められます

例1)
運動覚
例2)
触圧覚
足底圧


〈どのように注意を使うのか〉
注意


〈どのように言語を使うのか〉
言語


〈どのように学習するのか〉
学習


〈どのようにイメージするのか〉
イメージ


〈どのように情報を構築するのか〉
情報の構築


〈回復・阻害因子の予測〉

これまで各身体部における各感覚モダリティについて、

ネガティブ因子を克服するためのポジティブ因子という視点で評価を行ってきました

ここでは、ネガティブ因子とポジティブ因子を対応させる形で図表化することによって、

どのような認知過程の変質があるのか、

また、どのような援助によって認知過程が活性化するのかということを整理することが求められます

この作業を通じて、訓練の順番や内容が決定されると考えます

例)
回復の阻害因子(ゴシック)


〈病態解釈・治療仮説〉

ここでは、観察から病態解釈を行い、

治療仮説を立てて訓練によって仮説を検証してきた一連の過程を文章化してまとめる作業を行います

病態解釈では、「認知神経的な仮説」で述べた、

認知過程

生物学的構造(特異的病理)

意識経験


の3つの項目における相互関係に基づいて整理することが重要になると考えます

また、問題となる運動の異常については、

特異的病理だけではなく「どのような機能が障害されているかといった、

パフォーマンスの異常として捉えることが重要であると考えます

治療仮説では、どのようなポジティブ因子を使って、

どのようなネガティブ因子を克服するか
といった

認知過程を活性化するための具体的な方法を明記することが重要と考えます

また、認知過程を活性化した結果、「どのような機能を改善するのかといった

パフォーマンスの改善を明記することが重要と考えます

例)病態解釈
病態解釈

例)治療仮説
治療仮説


〈訓練〉

回復・阻害因子の予測で整理されたネガティブ因子とポジティブ因子を用いて、

訓練の具体的な内容が決定されます

訓練

例)訓練
訓練例


〈目標〉

これまで行ってきた、運動や経験の異常の原因となる認知過程の問題と、

訓練を通じて改善された運動や経験の変化を総合的に考え、

具体的な期間パフォーマンスを明記した「長期目標」を設定します

また、長期目標に至る過程において実現されるべき「短期目標」を設定します

これらは、病態観察のプロフィールを通じて得られたセラピストの仮説であり、

反証された場合には、仮説を立て直すことが求められます

その際は、観察から病態解釈・治療仮説に至る一連の過程が見直されます



認知運動療法の臨床は、問題-仮説-検証作業の循環によって行われる科学的な作業であると考えます

評価から治療に至る過程は、論理的な構造を有しており、

日々の訓練における問題-仮説-検証作業の積み重ねによって

病態観察のプロフィールが作成されます

病態観察のプロフィールを作成することを通して、はじめて訓練が決定されます

病態観察のプロフィールは、数日で完成するものではありません

時にはうまくいかないことも経験すると思います

しかし、日々の臨床において、

評価から治療に至る過程を理解し、

常にポジティブ因子を用いてネガティブ因子を克服する姿勢を持っていれば、

認知運動療法の臨床実践は可能である


と考えます



今回で、「認知運動療法の基本概念から訓練のためのプロフィール作成へ」は、完成となりました

皆さん、応援ありがとうございました

認知運動療法の基本概念から訓練まで、順序だててまとめたつもりです

とても多くの内容になってしまい、文字も多く読むのが大変だと思います

内容は、私の臨床における考えを整理したものになっています

それぞれのつながりを理解していただければ、

認知運動療法の臨床実践ができるのではないかと考えております

こういった機会を通じて、認知運動療法の臨床が広がるとともに、

患者さんの機能回復と笑顔につながることを心から祈っております


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コメント
この記事へのコメント
ポジティブに!
とても有意義な日記のないようです。お疲れ様でした。
「常にポジティブ因子を用いてネガティブ因子を克服する姿勢を持って・・・・」とありました。
とても重要ですね。私はどうしても、ネガティブ因子を克服しようとして、ネガティブ因子を使って課題を解答させようとする傾向が強かったように思います。

もう少しポジティブ因子に目をむけてがんばりたいです。

2009/02/14(土) 11:58 | URL | むら #-[ 編集]
ありがとうございます
>むらさんv-22

そのようにおっしゃっていただきまして、とてもうれしく思いますv-278

少しでもお役に立てれば幸いですv-353

機会がありましたら、むらさんの臨床のお話をぜひともお聞かせくださいv-21
2009/02/15(日) 00:43 | URL | 白いなまけもの #-[ 編集]
続けて今日も拝見させていただいてます。
私は只今実習直前なので、この話題には興味深々です。

そして悩むことが一つ。

①このリハビリテーションカルテはどのくらいで完成させなければならないのか?
②一回仕上げたら終わりなのか?


なんて感じに文字に書くと、
答え
①まずはさっさか埋めてみる。矛盾が無いか確認して修正。
②新たな情報や変化があれば、観察をもとに修正。

と、なんとなーく当たり前な答えが見えてきたりするんですよね。


よく見ると、リハビリテーションカルテは二つの部分に分かれて見えます。
上部の「直接的な観察」「プロフィールと特異的な運動」は見たこと聞いたこと感じたこと
いわゆる基礎データ。

下部はそこから導かれる予測、仮説、解釈、目標、訓練。
基礎データに根拠の無いことはここには書けない。
書きたいなら、根拠を見つけるため再度観察しなおすのは当然です。

ということで、
ざっくり始めた思考ツールが、
完成するとリハビリテーションカルテになると考えれば
書きやすそうです。
2010/05/08(土) 23:09 | URL | みちのく #-[ 編集]
回復とともに
>みちのくさんv-22

>このリハビリテーションカルテはどのくらいで完成させなければならないのか?

決められた期間はありませんが、
イタリアでは約2週間をかけて作成すると聞いたことがありますv-321

「訓練をするためには、まずはリハビリテーションカルテをかかなければならない」
と思ってらっしゃる方がいらっしゃいますが、
認知運動療法では評価と訓練は一体であり、
「日々の訓練の繰り返しによって作られる」
ものであると考えますv-353

>一回仕上げたら終わりなのか?

リハビリテーションカルテは、
どのような訓練を行うかを決めるために作られますv-21

患者さまの回復に従って、
リハビリテーションカルテも随時更新され、
行うべき訓練が変化するものだと考えますv-22
2010/05/09(日) 18:26 | URL | 生野達也 #-[ 編集]
生野先生

コメントありがとうございます。

>決められた期間はありませんが、
イタリアでは約2週間をかけて作成する

思ったより時間をかけるものなのですね。

でも、その間のリハビリはどうしているのでしょうか?

>リハビリテーションカルテも随時更新され、 行うべき訓練が変化する

更新は、リハビリテーションカルテ作成にふさわしい言葉です。

前回の実習レポートは、下降線をたどり失敗でした。今回はこの手で行こうと思います。
2010/05/10(月) 05:55 | URL | みちのく #-[ 編集]
一体
>みちのくさんv-22

>その間のリハビリはどうしているのでしょうか?

2週間は主な目的は「評価」のようですが、
認知運動療法では評価と治療は一体であると言われていますv-87

評価においても認知問題を設定し、
患者様に解答していただきますv-321

この時、正答できない場合や、
特異的病理が出現する場合には
セラピストが適切な援助を行うことで、
患者さまの認知過程の活性化を図りますv-353
これが治療になっていますv-21


こうした、
認知問題を通じたやり取りの中で、
患者さまの認知過程の問題が
明らかになってくることから、
評価と治療は一体である
と言われているのだと思いますv-354
2010/05/20(木) 00:17 | URL | 生野達也 #-[ 編集]
認知過程と思考
生野先生へ

お忙しい中
ご返事ありがとこうございます。

>評価と治療は一体である
>評価においても認知問題を設定し、
患者様に解答していただきます

合点しました。
これなら合理的で一貫しています。

>セラピストが適切な援助を行うことで、
患者さまの認知過程の活性化を図ります


できるできないという
行動を援助するのではなく、
適切な援助とは思考を促すものともいえるのでしょうね。
2010/05/20(木) 02:29 | URL | みちのく #-[ 編集]
思考を改変する
>みちのくさんv-22

>適切な援助とは思考を促すものともいえるのでしょうね。

そうですねv-353

思考が改変された結果として、
目に見える運動が改善すると考えますv-21

「思考を改変する」ということは、
長年培われた人生観を変えることでもあるため、
難しいことではありますし、
時には時間がかかることもありますv-356

しかし、
訓練を通じて、思考が改変されたときは、
運動の改善が見られることを実感しておりますv-353
2010/05/20(木) 05:23 | URL | 生野達也 #-[ 編集]
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