脳梗塞・脳出血や整形外科疾患の後遺症に対する新しいリハビリ方法である認知運動療法(認知神経リハビリテーション)の紹介。 麻痺や痛み・しびれの回復へ向けた日々の取り組みや基本的な考え方の紹介、相談コーナーもあります。

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障害を持たれた方の多くが、

「早く帰りたい」「早く良くなりたい」

といった想いを胸にリハビリに取り組まれていると思います

麻痺の回復にはリハビリの内容()とリハビリの期間( 時間

が関係してくると考えます

ポイントは 2つあります

そして、私が担当させていただいていた方からの

印象的な言葉とは


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先日の記事(詳しくはコチラ)の中で、

「早さ」と「質」は必ずしも

     比例するものではありません


ということを書きましたが、

少しわかりにくかったと思いますので、

詳しく説明したいと思います





脳梗塞や脳内出血といった病気を発症されるということは、

とても大きなことであり、仕事や生活に多大な影響を及ぼします





障害を持たれた方の多くが、

「早く帰りたい」

「早く良くなりたい」


といった思いを胸にリハビリに取り組まれていると思います

効果的なリハビリを行うためには、

担当のセラピストとの 信頼関係が作られることが大前提になります





リハビリにおける一般的な考え方としては、

早期離床、早期退院

を目指すことが重要であると言われています





しかし、脳の働きから考えると、

早期離床、早期退院は、

麻痺の回復にとって必ずしも

     良い影響を及ぼさない可能性


があるのです





早期離床とは、

脳梗塞や脳内出血を発症後、

できるだけ早くから座る・立つ・歩くといった

リハビリを積極的に行うことです





早期離床を行う メリットとしては、

手足の筋力が弱ること(廃用症候群)

手足の関節が硬くなること(関節拘縮)

床ずれが起こること(褥瘡)

深部静脈血栓症・肺炎などの合併症

を予防可能できることが挙げられています





そのため、早期から座る・立つ・歩く練習を行うのです





テレビ等で、

意識がはっきりしない状態で座る練習

をしている風景や、

麻痺された側の足に大きな装具つけて

リハビリスタッフに体を支えながら、

立つこともままならない状態で

         杖をついて歩く練習


をしている風景を見たことがある方も

多いのではないでしょうか





また、 早期退院とは、

できるだけ早くの退院を目指す

ということです





装具をつけ、杖をついた状態でも、

できるだけ早く退院することを目標とします





病院でリハビリを受けてこられた方の中には、

「装具が外れるまでリハビリがしたい」

「杖をつかずに歩けるようになるまでリハビリがしたい」


と思われた方も多いのではないでしょうか







障害を持たれた状態からのリハビリの過程は、

障害を負った脳が

作り直されていく(再組織化される)過程


でもあると思います





その時に

重要なキーワードとなるのが

機能乖離(diaschisis)

という言葉です





機能乖離とは、簡単に言えば、

脳の抑制現象であり、

皮質間抑制とも言われています





脳の損傷を受けた部位と機能的に関連している

部位の機能が抑制の状態に入る


ということです





例えば、脳梗塞によって、

運動の中枢である 運動野が障害されてしまったとします

WS000001_20101102230735.jpg





すると、

機能的に繋がっている
 
   感覚連合野、小脳、脊髄などの機能が

       抑制されて働きにくくなってしまう


のです

WS000000_20101102230737.jpg





そのような状態で無理に動く練習を繰り返してしまうと、

麻痺側の手足の筋肉が硬くなってしまうなどの

悪影響が出てしまう可能性があるのです





そのため、

いかに機能乖離を解除するか

が重要になってきます





一般的には6ヶ月ぐらいで機能乖離が自然に解除される

と言われてきました

しかし、近年の研究では、

脳に損傷を負ってから数年経過した後でも、

機能乖離の状態が続いている


という報告があります





ロシアのAsratianは機能乖離の解除のためには、

2つのポイントがあると報告しました





1つ目は、

「強い刺激」ではなく

  「弱い刺激」の方が解除されやすい


ということです





従って、

麻痺側の手足で 強い筋肉の収縮を行い過ぎてしまうと

かえって 機能乖離の状態が長引いてしまう

可能性が出てきます





2つ目は、

シナプスの接続が単純な神経回路

        の方が解除されやすい


ということです





従って、

急いで 複雑な運動をしてしまうと、

麻痺側の手が曲がってくる

麻痺側の足が伸びるように力が入る

といった

片麻痺特有の運動パターンが

       先に解除されてしまう


可能性があるのです





つまり、

脳の働きから考えると

リハビリは弱い刺激を使って

    動きや感覚が簡単なものから

         複雑なものへと段階的すすめる


ことが重要になってくると言えます





そのように考えると、

脳梗塞や脳内出血を発症された当初からの

意識がはっきりしない状態で座る練習



立つこともままならない状態での

     杖をついて歩く練習
は、

脳の働きから見ると

    強い刺激で複雑な運動であり、

        機能乖離を長引かせてしまう可能性


が出てきてしまうのです





したがって、

脳梗塞や脳内出血といった病気を発症されてから、

「どのようなリハビリを行うか」といった

リハビリの「質」によって、

麻痺の回復に影響が出てくる可能性


があるということになります





障害を負った脳が作り直されていくには、

どうしても 時間がかかります

機能乖離からの解除を考えて、

弱い刺激を使って

    動きや感覚が簡単なものから

        複雑なものへと段階的すすめる


となると、さらに 時間がかかってしまうかもしれません





装具をつけ、杖をついた状態で

一人で歩くことが出来るようになったから退院する

ということは素晴らしいことなのですが、

退院してしまうと、

リハビリの頻度が減ってしまう

こともあります





そして、

生活の中で歩く量が増えることによって、

強い刺激で複雑な運動が繰り返されることで、

機能乖離が長引いてしまい、

麻痺側の手足の筋肉が硬くなってしまう

などの悪影響が出てくる可能性もあります





退院されてからもリハビリを続けることは可能なのですが、

脳の働きを考えると、

できるだけじっくりと長期間の集中的なリハビリを行う

ことが麻痺の回復に良い影響を与える可能性があると考えます





現在の医療制度では、

長期間の入院を望んだとしても

退院せざるを得ないこともあるかと思います

制度上の問題とはいえ、

障害を持たれた方が主体となっていないことは

大きな問題であると感じています







実際に私が担当していた方がおっしゃっていた

印象的な言葉があります





脳梗塞によって左片麻痺という障害を持たれた方で、

これまでに何度か記事にさせていただいたことのある方の話です

(これまでの記事はコチラ①コチラ②コチラ③コチラ④コチラ⑤コチラ⑥






発症当初は他の急性期病院で

麻痺された側の足の筋力を鍛えるリハビリ



装具を付けて歩くリハビリ

を行っていました





その結果





麻痺された側の足の力はついていましたが、

筋肉の緊張が硬くなってしまい、

引きつるようになっていた
のです

自らの意思とは反して、

勝手に力が入ってしまう

とおっしゃっていました





当院へ入院後は、

認知運動療法を中心にリハビリを行いました






認知運動療法とは、簡単に言えば、

感じるリハビリを行うことで、

  楽に動くためのコツを見つける


ことを目的としています(詳しくはコチラ①コチラ②





その時には、 機能乖離の解除を考えて、

弱い刺激で行います





はじめは、

寝た姿勢や座った姿勢といった

リラックスした状態で行います





無理にご自分で麻痺された側の手足を動かすのではなく、

リラックスした状態で、

セラピストが麻痺された側の手足を

動かす中で運動に必要な感覚を感じる


ように導いていきます





ご自分で動かそうとすると

なかなか感じにくい感覚も

リラックスした状態でセラピストが

動かしながら集中することで感じやすくなる


ようです





足首の動いている感覚や、

WS000001_20101103004437.jpg
(「認知運動療法と道具 差異を生み出す差異」より引用)


足の裏の圧力が増える感覚

WS000003_20101103004436.jpg
(「認知運動療法と道具 差異を生み出す差異」より引用)


などなど、

弱い刺激で単純な動き

から始めます





脳梗塞や脳内出血によって障害された

お一人お一人によって異なる脳の状態によって、

必要な感覚を感じるように導いていくこと


セラピストの役割になります





そして、

複数の感覚の変化を感じるように導くと共に、

寝た姿勢から座った姿勢

そして、立った姿勢へと

段階的に 複雑な動きの中で

感覚の変化を感じるように進んでいきます

WS000000_20101103004437.jpg
(「認知運動療法と道具 差異を生み出す差異」より引用)

WS000002_20101103004437.jpg
(「認知運動療法と道具 差異を生み出す差異」より引用)





麻痺された側の手足の筋肉が硬くならないように、

慎重に注意しながら進んでいきます





難しい姿勢で複数の感覚の変化を感じようとしても

なかなか難しく、どうしても

麻痺された側の手足の筋肉が硬くなってしまう時には、

再度、リラックスした姿勢や

単純な感覚の変化を感じる内容へと戻ることもあります





細かい訓練設定や難易度の変化を

繰り返しながら少しずつ進んでいくことになります





先ほどの他の急性期病院で

麻痺された側の足の筋力を鍛えるリハビリ

行ってきた方も、

弱い刺激から段階的に感じるリハビリ

を行いました





はじめは、なかなか感じることができませんが、

徐々にコツを掴んでくることによって、

動きの中でも感じることができるようになってきました





すると





硬くなっていた 筋肉の緊張が軟らかくなり、

足の引きつりも ほとんど出なくなってきたのです

装具を付けずに一人で歩くことも

できるようになりました





ある時におっしゃっていた 印象的な一言





それは





前の病院でのリハビリの後遺症

やっとなくなってきたね





後遺症とはどのようなことでしょうか

詳しく伺ってみます





すると





「前の病院では無理な運動をし過ぎたから、

   手足が硬くなってた
んやと思うわ

      動き方のコツさえわかれば、

         自然に軟らかくなる
んやね





認知運動療法を通じて、

楽に動くためのコツを見つけることによって、

自らの意思で麻痺された側の手足の筋肉を調整することが

できるようになったようです





前の急性期病院から機能乖離が続いていましたが、

弱い刺激を用いた段階的な感じるリハビリによって、

機能乖離が解除され、麻痺の回復に繋がった


ようです







麻痺の回復には、

弱い刺激を用いて単純な運動から、

     段階的に複雑な運動へと進めていく


ことが大切になると考えます





その時には、

セラピストと障害を持たれた方が寄り添って、

じっくりと時間をかけて進んでいくことになります

時には後退することもありますが、

共に試行錯誤しながらゆっくりと進んでいきます





セラピストと障害と持たれた方との

強い信頼関係を基盤として、

ゆっくりと前に進んでいくのです






(機能乖離について引用した書籍はコチラ

認知運動療法講義認知運動療法講義
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脳のリハビリである認知運動療法について知りたい方コチラ






脳のリハビリである認知運動療法の具体的な訓練場面コチラ






脳のリハビリである認知運動療法を

     臨床展開するための考え方についてはコチラ

    (最初の記事から順に読んでいただくとよいと思います





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この記事へのコメント
私の体験から感じること
 早期離床のメリットは、廃用症候群・関節拘縮・褥瘡、深部静脈血栓症・肺炎などの予防のため。

 と言うことは、急性期リハビリの目的としてよく見かけます。

 私は、脳が傷害を受けた直後から、新しい回路を作ろうと脳が働きだしていると思うのです。

 つまり脳の可塑性は、受傷直後から発現しようとしているのではないでしょうか。

 脳の可塑性は、新しい回路を作ることですから、初歩的な動作から始めないと脳には正しく書き込まれないだけではなく、筋肉を痛めることになったりすると思います。


 私は救命されてから数日後に、若い看護婦さんにベッドと車椅子の移乗を指導してもらいました。

 全く動けない患者を、起こして車椅子に座らせるのは大変なことです。

 ベッドから抱きかかえた感じで車椅子に座らせるのが一般的だと、後で知りました。

 つまり、彼女は動けない私にも、少しずつ動作をさせようとしたのです。

 私に顔を近づけた彼女の首に痲痺のない腕を回して、彼女と一緒に起きあがります。

 その時に私も腹筋を使って起きあがろうとします。

 起きありがると、ベッドに端座させて、もう一度首にしがみつかせて一緒に立ち上がりますから、何とか両足で立とうとします。

 次には、抱きついて立ったたまま向きを変えて車イスに座りますから足指・足首・膝・股関節を使おうとします。

 この動作を数回続けることで、下肢の動きがかなり出てきました。

 動きを感じることが出来る指導でした。

 ナースは看護の一貫として指導したのでしょうが、私にとっては超早期のリハビリとなりました。

 その後の歩行訓練は順調で、発病から1ヵ月で杖歩行が可能となり、その後の半月で杖無し歩行の訓練を始めました。

 私は、リハビリの指導を受けるのが愉しかったぐらいです。

 発病から5ヵ月足らずで杖無し装具無しで歩いて退院し、2週間の自宅療養で、電車通勤で元の職場に復帰し、2年間の通常勤務を続け、定年退職しました。

 早期のリハビリには賛否両論があることは存じています。

 しかし、私を担当したナースや療法士が特別で、私のような患者も特別だとは考えていません。

 脳梗塞や脳出血になった人のリハビリは、倒れた直後が重要だと体験的に感じるのは私だけでしょうか。
2010/11/03(水) 16:00 | URL | マサおじさん #-[ 編集]
脳の回復へ
マサおじさんv-22

ご意見をいただきまして、ありがとうございます。

>脳の可塑性は、受傷直後から発現しようとしているのではないでしょうか。

おそらく、受傷直後から脳の可塑性は見られると思います。
今回の記事にありました「機能乖離」が起こってしまうことを考えますと、
受傷直後は特に「弱い刺激」からリハビリを行うことが
重要になると思います。

>脳の可塑性は、新しい回路を作ることですから、初歩的な動作から始めないと
 脳には正しく書き込まれないだけではなく、筋肉を痛めることになったりすると思います。

そうですね。
誤った動作が脳に書き込まれてしまうと、
その後の回復に影響をきたしてしまいます。

脳の回復には、受傷直後から、
セラピストやナースだけではなく、
ご家族とも情報を共有して進めていくことが
大切になると考えております。
2010/11/12(金) 00:25 | URL | 生野達也 #-[ 編集]
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