脳梗塞・脳出血や整形外科疾患の後遺症に対する新しいリハビリ方法である認知運動療法(認知神経リハビリテーション)の紹介。 麻痺や痛み・しびれの回復へ向けた日々の取り組みや基本的な考え方の紹介、相談コーナーもあります。

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認知運動療法の臨床は、「問題-仮説-検証」作業という試行錯誤の循環によって成立します

はじめのうちは、セラピストも自信がなく、主治医や周囲からのプレッシャーもあり、

「焦り」が生じることも多いと思います

認知運動療法を実践するために「自信」をつけるためには、「問題-仮説-検証」作業の中で、

訓練効果という「結果」を出し、仮説を検証していく姿勢の中で培われていくものと考えます

今回、左大腿骨骨折の術後の患者さんの臨床場面では、仮説が反証されていくなかで

新たな仮説を立て直し、なんとか「結果」を出すことができました


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はじめのうちは、セラピストも自信がなく、主治医や周囲からのプレッシャーもあり、「焦り」が生じることも多いと思います

主治医からは、「可動域が悪い

周囲のリハスタッフからは、「そんなことをしていて良くなるのか

などなど

そんなプレッシャーのなかで押しつぶされそうになることも多いのではないでしょうか


認知運動療法を実践するために「自信」をつけるためにはどうすれば良いのか


それは「問題-仮説-検証」作業の中で、訓練効果という「結果」を出し、

「自ら立てた仮説が正しかった」と

仮説を検証していく姿勢の中で培われていくものと考えます


認知運動療法の臨床においては、仮説が反証され、

新たな仮説を立て直すことが良くあります

その繰り返しによって、「結果」と「自信」が得られるのだと思います



左大腿骨骨折の術後の患者さんです

損傷は大きく、らせん状に骨折しており、術後約1ヶ月

膝関節の屈曲角度は約60度

患者さんからは、患側下肢に対する違和感の訴えが多く聞かれます

「膝から下が重たくて動かない」

「重たいのが取れたらねぇ」

「座ると膝の周りが突っ張る」


座位で膝関節を屈曲すると、腸腰筋、大腿四頭筋、股関節内旋筋、大腿筋膜張筋などの筋緊張の亢進を認めます


セラピストとしても、

「なんとか膝を軽くさせてあげたい

「膝周囲の突っ張りを取って楽に曲げさせてあげたい

と願います


セラピストは「問題」に対して「仮説」を立て、

仮説を「検証」するために訓練を実施します


改めて評価します

仰臥位で患側股関節は外旋位で正中位と認知します

患側下肢の接地感を聞くと、

ベッドに接地しているのにも関わらず

「浮いている感じがする」

と記述します

動かない状態から患側下肢の筋緊張は亢進しています

他動的に股関節や膝関節を動かすと、

「膝から下が重たい」

「膝の周りが突っ張る」


と記述します


以上の結果よりセラピストは仮説を立てます

仮説を立てるときには、認知神経的な仮説で述べたような

生物学的構造

認知

経験


の3つの要素の関係を考えます

病態解釈

「大腿骨の骨折と手術といった生物学的構造の変化によって、

大腿の触圧覚情報を適切に認知することができなくなり(認知)、

ベッドへの接触感がなくなったのではないか

その結果、腸腰筋、大腿四頭筋、大腿筋膜張筋の筋緊張亢進が出現(生物学的構造)し、

股関節を軽度外旋位で正中位と認識するようになり、

<膝から下が重たい>といった異常な意識経験につながっているのではないか

その状態で運動を起こすためにさらに筋緊張が亢進するのではないか


治療仮説

「大腿部への硬さの異なるスポンジの認識課題を通じて触圧覚情報が適切に認知できるようになれば、

筋緊張が制御され、股関節内外旋の正中位の認識が可能になり、

<膝から下が軽い>という意識経験につながるのではないか

その後であれば、空間課題によって運動覚情報が適切に認知することができるのではないか


仮説を検証するために訓練を実施します



大腿部への硬さの異なるスポンジの認識課題

はじめは左右同じ硬度のスポンジを接触させると患側を硬く認知します

健側は硬度が上がっても自然に感じるのに対して

患側は硬度が上がると「硬くなるほど嫌な感じがする」と記述します

身体外部から身体内部へと注意を向け、

「自分のお肉が押される感じ」といった身体内部の情報を知覚仮説にして、

硬さの異なるスポンジを認識する課題を行いました



訓練を通じて筋緊張はある程度制御されました

「膝から下が少し軽くなった」と意識経験も変化しました



さぁ いよいよ動かします

仮説が正しければ運動覚も適切に認知され、

楽に動くはずです




あれっ




端座位で膝関節を屈曲すると筋緊張の亢進

患者さん「やっぱり膝から下が重たいね

股関節も外旋位です


あれれっ



仮説が反証されてしまいました

頭を抱えます



う~ん


なぜ筋緊張が制御されなかったのか

悩みます


再度、動作を観察します

セラピスト「どのような動作の時にお足が重たくなるのでしょうか

聞いてみました

患者さん「起きるだけで重たくなります


起居動作を観察します



すると



寝返り時から患側下肢全体に筋緊張の亢進を認めます

膝関節は伸展位のまま股関節と膝関節の動きがほとんど見られず、

骨盤と患側下肢が一体となっています

そのまま側臥位をとると、患側大腿部外側に伸張感が出現し、

「張ってくるから横向いて眠れない」と訴えます


座位で膝関節が曲がらないことばかりに注意がいってしまっていました

行為の中で膝関節がどのように使われているのかといった機能の視点が欠けていたと考えました

再度、考え直します


寝返りにおける、股関節と膝関節屈曲によって踵と殿部の距離を作り、

股関節によって下肢を方向付ける
といった

下肢の機能が変質していると考えました

臥位の時からこのように筋緊張が亢進しているようであれば、膝関節は曲がりにくいはずです

まずは、寝返りにおける下肢の機能の回復を目的に新たな仮説を立て直します


悩んだ結果、

触圧覚情報だけが原因ではなく、

各関節の運動覚情報も認知できないことも原因と考えました

なんとか「軽い足」になってもらいたいものです


病態解釈

「大腿骨の骨折と手術といった生物学的構造の変化によって、

大腿の触圧覚情報や股関節・膝関節の運動覚情報を適切に認知することができなくなり(認知)、

寝返りにおける、膝関節(距離)・股関節(方向付け)の機能が変質したのではないか

その結果、腸腰筋、大腿四頭筋、大腿筋膜張筋の筋緊張亢進が出現(生物学的構造)し、

<膝から下が重たい>といった異常な意識経験につながっているのではないか

「膝から下が重たい」という異常な経験の原因は、

触圧覚情報だけではなく運動覚情報の問題も加わった結果であると考えました


治療仮説

「大腿部への硬さの異なるスポンジの認識課題を通じて触圧覚情報が適切に認知できるようになるとともに、

空間課題を通じて股関節や膝関節の運動覚情報が適切に認知できるようになることによって、

筋緊張が制御され、<膝から下が軽い>という意識経験につながるのではないか


仮説を検証するために訓練を実施します


接触課題を行うことによって、患側下肢に対して「やわらかくて軽い」という経験になってきています

寝返りを考えると、

股関節と膝関節が同時に屈曲しながら股関節が回旋する

ことが必要になります

しかし、いきなり股関節と膝関節が同時に屈曲しようとすると、筋緊張の亢進が著明です


患側下肢の筋緊張亢進は、股関節と膝関節の問題が重なり合って生じていると考え、

まずは筋緊張の亢進が比較的少ない股関節から課題を行いました

股関節を制御してから膝関節へと進み、

最終的には股関節と膝関節が同時に屈曲するように展開したいものです


この患者さんは痛みに対して注意が向きやすいために、注意が必要です

患側の下肢を全体的にセラピストが支えることで接触面を増やし、安心感を与えます

そして、正中位が変質している(軽度外旋位で正中位と認知)股関節内外旋の空間課題


他動的に外旋すると内旋筋の筋緊張亢進を認めます

健側を通じて痛みではなく「付け根がスーッと開いていく感じ」といった

股関節の運動覚に注意を向け、

患側でも股関節の運動覚に注意を向けるように援助します


しかし


内旋筋の制御はいまひとつ

患者さん「やっぱり重いね


そこで、痛みに注意が向きやすいために持続的に体性感覚に注意が向きにくいと考え、

他動的に股関節を外旋するときに、運動の開始と経過、終了をセラピストの言語で援助を行いました

患側下肢を支えた状態で

セラピスト「付け根が開きます

      動きますよ  せーのっ

      まだ開きますねぇ

      もう少しで止まります

      ハイッ止まりました

と声をかけながら他動的に股関節を外旋します


すると


股関節内旋筋が制御されているのを感じます

そして

患者さん「今はスーッと開いきました すごく足が軽かったです

と変化がありました

すると、股関節内外旋の正中位の認知も可能となっています

さらに

患者さん「今の感じだったら、良い方の足と同じくらい軽いです

と嬉しいお言葉が


この状態で内外旋の空間課題を行うことで、正しい正中位と方向を学習していただきました

セラピストが支えることで痛みに注意が向きにくい環境を作り、

セラピストの言語による援助によって股関節運動覚に注意が向いたことで、

股関節内外旋の正中位の認知が可能となり、

筋緊張が制御され、意識経験も変化したと考えます



股関節回旋の正中位が学習できたので、股関節の正中位を注意しながら股関節と膝関節が同時に屈曲します



しかし



セラピストの言語による援助によって注意を向けても筋緊張の亢進を認めます



経過の中で、この患者さんは複数の情報に一度に注意を向けることができないことがわかっていました

また、痛みに注意が向きやすい特徴もあります

そのため、股関節の回旋の正中位が認識できても、

股関節と膝関節を同時に注意を向けて屈曲するということができていないと考えました

膝関節と股関節を分けて進め、最後に同時に行うことを考えました



寝返りは、股関節と膝関節を同時に屈曲すると同時に股関節回旋を行います

そのため、まずは膝関節を入れずに股関節回旋の正中位を注意しながら股関節屈曲を行いました


セラピストが支えることで接触面を増やしたまま、

膝関節伸展位・股関節回旋正中位で股関節を屈曲(SLR)させます

先ほどの内外旋の課題の経験を活かして、健側で十分に注意を向けてから行います

患側で行うときには運動の開始と経過、終了をセラピストの言語で援助を行いました

セラピスト「足が真っ直ぐ向いたまま、付け根から上がりますよぉ~

      まだ上がりますよぉ

      ハイッ 止まります



すると



筋緊張は制御されています

患者さん「これだったら足が軽いです

とまたまた嬉しいお言葉が


次に、SLRを行いながら股関節の内外旋を識別する課題を行いました

これもなかなか順調に進みます

少しずつ手応えが出てきます


股関節はだいぶ筋緊張が制御されてきました

次はいよいよ膝関節です


股関節回旋正中位、股関節軽度屈曲位から他動的に膝関節を屈曲させます

引き続き、はじめに健側で十分に注意を向けます

患側で行うときには運動の開始と経過、終了をセラピストの言語で援助を行います

膝関節はあまり曲がらないので股関節軽度屈曲位から行いました

セラピスト「足が真っ直ぐ向いたまま、足が上がっていますね

     良い方の膝ように膝がふにゃっと曲がりますねぇ

     まだ曲がりますねぇ

     ハイッ  止まります

膝関節は約15度しか屈曲していませんが、

筋緊張は制御されています

患者さん「膝も軽く曲がったね

     こんなに軽く曲がったのははじめてやわ

と喜んでおられます



しかし、まだ終わりではありません



寝返りを考えると、股関節と膝関節はバラバラに動くのではないのです

股関節と膝関節を同時に屈曲すると同時に股関節回旋を行います

そのため、これまで行った課題を最後にひとまとめにして、

股関節と膝関節を同時に屈曲する課題へと進みます


膝関節の屈曲角度を患者さんに覚えてもらいます

痛みに注意が向きやすい患者さんなので注意が必要です


セラピスト「これくらいまでなら付け根と膝を一緒に曲げても楽に曲がりそうですか

患者さん「そうやね これくらいなら大丈夫やね

セラピスト「それなら、今の曲がり具合を覚えてくださいね

      これから付け根と膝を同時に曲げますが、

      今の曲がり具合までしか曲げませんので安心してくださいね

      良い方の足のように軽くフニャッと曲がりますね

患者さん「わかった 覚えたよ


健側で同じ動作を十分に実施し、注意を向けてからいざ患側へ

セラピストは患側下肢を全体的に支え接触面を増やします

さらに運動の開始と経過、終了をセラピストの言語で援助を行います

セラピスト「足が真っ直ぐ向いて、フニャッと曲がりますねぇ

     お尻に踵が近づきますねぇ

     もう少し曲がりますねぇ

     ハイッ 止まります



すると



はじめは股関節と膝関節を同時に屈曲させた時、

あんなに亢進していた筋緊張が制御されています

グッときます

患者さん「軽くいったねぇ

さらにグッときます



この患者さんは、複数の情報に一度に注意を向けることができません(ネガティブ因子)でしたが、

一つ一つの情報に注意を向けた後であれば複数の情報に一度に注意を向けることができる(ポジティブ因子ようでした


最後に、股関節と膝関節を同時に屈曲させながら股関節の内外旋の課題を行いました

このときには、患者さんも注意の使い方に慣れてきたようです

そのため、徐々にセラピストが支えていた接触面を減らしていきました

すると、最後にはセラピストの介助がなくても膝関節屈曲15度までは

楽に股関節・膝関節を同時に屈曲させることができるようになりました



最後に下肢を注意しながら寝返りを行ってもらいます



すると



随意的な股関節・膝関節屈曲と股関節内旋が出現しています

患者さん「足が軽くて、楽に転がれたわ

      ありがとう

側臥位になっても伸張感も見られません

仮説が検証されました

ここまであっという間の約1時間でした

患者さんに喜んでいただき、とても嬉しい瞬間です


今回の患者さんを通じて、 機能を考える重要性と

患者さんの認知過程の特徴がどの部位でも共通していることを改めて感じました

また、訓練を通じてセラピストの援助の量を少しずつ減らしていくことで、

患者さんが一人で「考える」ことができるように導いていくことが、

ADLに繋がる
ことを再確認しました

これからは、股関節・膝関節屈曲に伴う距離を認識する課題などを行って行きたいと思います




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コメント
この記事へのコメント
No title
こんにちは。よませていただきました。認知運動療法は、心、意識がすごく大切ですね。どんなリハビリのアプローチも意識する事の大切さを実感してますが、なによりも、仮設~検証~結果 をだすという文章にするとむずかしいですが、
要は、リハビリの先生と患者さんの二人三脚の心が通じ合う対等のリハビリ
方法ですね。
私も素人ですが、いつも文章を頭にいれて、階段をのぼるようにひとつづつ課題を持たせて、日々すこしづつですが、上肢も下肢も回復に向けて日常生活にとりにいれながら、認知運動療法の考えを実戦してますよ。
論理的で納得できるので、楽しいというより、安心できますよ。
2008/12/16(火) 12:43 | URL | まるさん #XD/8Df/M[ 編集]
コメントありがとうございます☆
>まるさんさんv-22

こんばんはv-280

いつもコメントをいただきましてありがとうございますv-353

>リハビリの先生と患者さんの二人三脚の心が通じ合う対等のリハビリ方法ですね。

私もそのように感じておりますv-22

認知運動療法は、リハビリの先生からの一方的な訓練ではなく、

リハビリの先生と患者さんが向き合って心を通わせていくことがとても重要になると考えておりますv-354


ブログの内容を日々の生活に活かしていただいているとは、とても嬉しく思いますv-353

新たな発見がありましたら、ぜひとも教えていただければ幸いですv-22
2008/12/17(水) 00:21 | URL | 白いなまけもの #-[ 編集]
No title
 ときより、寄らせていただいています。
 とても具体的に記載していただき、勉強になります。
 楽しみのブログです。また、寄らせていただきます。
2008/12/18(木) 23:10 | URL | 中安健 #-[ 編集]
No title
>中安先生v-22

コメントありがとうございますv-353

そのようにおっしゃっていただきまして、とても嬉しく思いますv-406v-353

まだまだ未熟者ですが、少しでも多くの方に認知運動療法について知っていただけるよう努力していきたいと思いますv-355

今後ともよろしくお願いいたしますv-22
2008/12/18(木) 23:58 | URL | 白いなまけもの #-[ 編集]
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