脳梗塞・脳出血や整形外科疾患の後遺症に対する新しいリハビリ方法である認知運動療法(認知神経リハビリテーション)の紹介。 麻痺や痛み・しびれの回復へ向けた日々の取り組みや基本的な考え方の紹介、相談コーナーもあります。

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前回、記事にさせていただいた脳梗塞によって左片麻痺という障害をお持ちの

外来でこられている患者さまが今日も来られました

前回行った訓練効果が残っているのかが気になります

今回は、新たな問題


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前回、記事にさせていただいた脳梗塞によって左片麻痺という障害をお持ちの

外来でこられている患者さまが今日も来られました

(これまでの記事はコチラ①コチラ②コチラ③



前回は、

立位で麻痺側下肢の位置関係に注意を向けることで、

筋緊張が制御され、

「足が軽くなった」

と意識経験の変化も見られました(詳しくはコチラ






まずは、前回行った訓練効果が残っているのかが気になります









早速、聞いてみます














セラピスト「前回、訓練が終わってからご自宅で歩いていていかがですか



患者さん「言われたことを気を付けているんやけど、

                  やっぱり、少し足が重たいんよね

患者さん「前に頑張って歩きすぎた後遺症が残っている感じやね





歩行を観察してみると・・・








麻痺側下肢を振り出す際に、麻痺側下肢が全体的に筋緊張が亢進しています










前回の訓練内容が、日常生活に良い影響を与えなかったようです







残念っ















しかし、へこたれるわけにはいきません





訓練効果が残らないことは、セラピストに問題があるのです



仮説が間違っていたのか



難易度が高すぎたのか




新たな仮説を立て直すことが求められます








そこで、患者さんの

「前に頑張って歩きすぎた後遺症が残っている感じやね」

という言葉に注目







患者さんは、なぜそのように思ってらっしゃるのでしょうか







認知運動療法(認知神経リハビリテーション)では、

このような運動の異常が生じている場合も

認知過程の異常が原因と捉えています





基本的には、

認知過程の異常によって、

中枢神経系が認識する体性感覚情報が変質することによって、

筋緊張の亢進などの特異的病理が出現すると考えます(詳しくはコチラ



また、患者さんは特異的病理が出た状態で、

運動を繰り返すことによって、

余計に体性感覚情報が認識しにくくなっているのだと思います










今回の患者さんで考えてみると








以前、スピードを上げて歩行をしたことによって、

それに応じた体性感覚情報を認知することができなかった結果、

特異的病理が出現し、引っかかりが出現すると共に

「足が重たい」という意識経験が生まれました



その状態で、歩行を繰り返したことによって、

これまで認知できていた、

体幹や下肢の体性感覚情報も認知できなくなってしまうことがあると思います



「足が重たい」という意識経験について、

重さの知覚(認知的重量)は、物理的な重量とは異なることが言われています

重さは筋出力と抵抗の差異を感じる筋の

「努力感覚(sense of effort)」

によって感じることができるそうです

中枢性麻痺などでは、

主観的な努力感の割に、

筋を含めた末梢から大脳の感覚野まで戻る求心性情報が少ない


ことで、両者にアンバランスが生じることによって、

「重たい」と感じてしまうそうです



(認知的重量についての詳しくはコチラ

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自ら注意を向けても改善することがでいず、

「重たい足」で歩き続けていることから、

「頑張って歩き過ぎた後遺症や」

と思ってらっしゃると考えました




訓練を通じて、この悪循環を断ち切らなければなりません












前回は、立位で課題を行いました



その結果、訓練効果が残らなかったことから、

難易度が高すぎたと考え、

改めて座位で評価をすることしました







これまで、認知できていた体幹や下肢の認知が、

本当にできているのかどうかにも着目です










麻痺側の振り出しを問題と考えて、

座位で下肢の空間課題を行います










早速、座っていただきました














すると















いきなり発見が

















骨盤が軽度後傾し、

麻痺側臀部に多く荷重している状態で、

「真っ直ぐです」

と認知します

平らさん①






体幹にも問題があるようです












ひとまず、その状態で下肢の空間課題を行います





他動的に股関節と膝関節を同時に伸展した時に、

どれだけ足が遠くに行ったか

という課題を行いました







すると、伸展とともに

ハムストリングスの筋緊張が少し亢進します

一見、伸張反射が亢進しているように感じます

課題に正答することは可能ですが、

「少し重たいね」

とおっしゃいます




自動運動で伸展していただくと、

さらに筋緊張が亢進し、

「自分でするとかなり重たいね」

とおっしゃいます





どのような感覚からその問題を解いているのか

といった知覚仮説(詳しくはコチラ)を伺ってみますが、

股関節や膝関節の運動覚情報には注意が向いているようです












運動覚情報に注意が向いているにもかかわらず、

特異的病理が生じているようです
















果たして、何が問題なのでしょうか















歩行場面を思い浮かべます
















歩行における麻痺側下肢の振り出しでは、

体幹を垂直に保ちながら、

対側への重心移動を行い、

麻痺側下肢を降り出します















機能系(詳しくはコチラ)の視点から、

その時に感じなければならない体性感覚情報

を考えます
















そうです

















体幹の垂直を認知しながら、

左右に重心移動を行い、

下肢の位置関係にも注意しなければならないのです
















今回の患者さんは、

麻痺側下肢で位置関係を認知することはできていますが、

体幹が崩れていました














ということは
















体幹の垂直を認知し、

対側へ重心移動を行いながら、

麻痺側下肢の位置関係を認知することができない

のかもしれません













早速、体幹の課題に移ります





体幹の課題もこれまで何度も行ってきたこともあり、



セラピスト「お尻の重さは左右同じですか



と臀部の圧覚に注意を向けるように指示すると、



患者さん「あれ 左の方が少し重たいですね



と気が付くことができました





そして、



セラピスト「それでは、左右のお尻の重さを同じにしてください



と指示すると












体幹が左右対称に変化しました



同時に、体幹の垂直についての認知を聞きます



セラピスト「今は、体は真っ直ぐですか



患者さん「ん~  これで真っ直ぐですね



これまで、個別の体性感覚情報は、

注意を向ければ認知することができていた方なので、

修正できたことはさすがです













そして、

体幹を垂直に保ちながらの下肢の空間課題

へと進みます







対側への重心移動も重要だと考え、

まずは、健側で課題を行います






セラピスト「良い方の足を動かす時に、

       左右のお尻の重さ反対の足の感じは変化しますか









すると












患者さん「体は真っ直ぐですが、

         反対のお尻と足で支えていますね






反対側への重心移動に注意を向けることができました













いよいよ麻痺側で課題を行います




セラピスト「体をまっすぐにしながら、

      良い方のお尻と足で支えながら

               足の位置関係を考えてください
















すると















ハムストリングスの筋緊張が制御されています

距離の認知も可能です

先ほどまでは、「重い」と経験していましたが、

患者さん今は、軽いね

と意識経験も変化しています

平らさん②






このまま第一段階で課題を行いました






どうやら、訓練前に見られた

ハムストリングスの筋緊張の亢進は、

伸張反射の亢進ではなく、

体幹の崩れに伴う異常な放散反応の要素が強かったようです













そして、第二段階へ





訓練前は、自動運動になると

ハムストリングスの筋緊張がさらに更新していました





第二段階になってもハムストリングスの筋緊張が制御されているかが問題です







セラピスト「それでは、先ほどの距離感で、一緒にやってみましょうその時にも、

    体のまっすぐとお尻と足で支えることを気をつけておいてください
















いよいよ、自動運動が入っての課題です

















結果は


















自動運動でもハムストリングスの筋緊張が制御されています





しかも





患者さん「こうしたら、足が軽いねぇ



嬉しい声が聞かれます







「重たい足」

から

「軽い足」

へと変化しました











ここで終わらずに、歩行へつなげます









セラピスト「それでは、歩く中で(麻痺側の)足を振り出す時にも

     体を真っ直ぐと腰を水平に保って

    良い方の足に重心を移してから振り出すようにしてください
















歩行が変化するのか注目です
















結果は


















患者さん「こういう風に歩けば、足が軽くなるんやね

    「良いこと教えてもらったわぁ





振り出し時の筋緊張が制御されています








これまた嬉しい瞬間です







訓練後…





患者さん「今日、教えてもらったことを家でも気をつけてみますね





患者さんの笑顔が印象的でした



セラピストとしてのやりがいを感じる瞬間です





来週は、どうなっているのか



果たして、訓練効果は出ているのでしょうか



乞うご期待です



~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~



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コメント
この記事へのコメント
認知過程
 ご無沙汰しております。おかげ様で何とか留年せずに後期残留することができました。

 8~9月は本当に認知が歪みまくっていまして心身の疲労が限界に達し、とうとう精神科を受診するに至りました。 
 
 精神科の先生は、私の認知過程において認知の歪みによる悪循環を作る原因となっている部分を指摘し、その部分を修正するように導いてくれました。先生との2時間弱の対話によって私の認知の歪みはかなり修正することができました。
 また担任教師に言われてからずっと気にしていたアスペルガー症候群の疑いについても、「アスペルガー症候群の傾向は多少あるけど診断を下すほどではない。それより不安障害の傾向の方が強いのでしばらく薬でコントロールしましょう。」とのこと。何ヶ月も悩んでたことがスッキリして、あまりに気分が良くなり、帰りにいつもと違う美容院で髪の毛を切ったのを覚えています(笑)

 今では薬も必要なくなり、あの時、敵に見えていた学校の先生も敵に見えなくなり、むしろ再試験を受けさせてくれたことに感謝しています。

 白いなまけもの先生の助言にも随分救われました。本当にありがとうございます。
 しろいなまけもの先生をはじめ、いろいろな先生や友達に支えられながらの後期残留だったと思います。

 今回の経験から認知過程に働きかけることの大切さを身を持って実感し、しばらく封印していた認知運動療法関係の本もまた読み始めました。認知運動療法関係の本では一番易しい内容の「脳の中の身体」でも、何度も読んでるんですが、今回の経験を通してまた新たに気づくことがありました。
 
 ところで、くだらないこと質問しますが「肩こり」も認知運動療法の治療対象になりますか?(笑)
 もう何ヶ月も左の肩こりに悩まされてるんですが、この患者さんの「足が軽くなった」という言葉から「足が軽くなるなら肩も軽くなるのでは?」と思いました。
2009/10/17(土) 01:37 | URL | getemono #Dm6cLk/.[ 編集]
おめでとうございます
>getemonoさんv-22

後期残留おめでとうございますv-354

今まで色々とありましたが、苦難を乗り越え、先に進まれることを嬉しく思いますv-353
また、新しいスタートですねv-278

>「肩こり」も認知運動療法の治療対象になりますか?

確かに、筋緊張の異常の結果が「肩こり」とするならば、認知運動療法の治療対象になるかもしれませんv-21

おそらく、日ごろの上司の使い方に問題がある可能性があると思います
v-48肩甲帯の硬さや体幹の対称性、肩関節の運動覚などに問題があるかもしれませんv-353

私自身も肩がこったと感じた時には、僧帽筋の「伸びる感じ」をイメージしながら自分で第2から3段階の課題を行っていますv-21
そのあとは、不思議と楽になるように思いますv-411
2009/10/17(土) 22:24 | URL | 生野達也 #-[ 編集]
ありがとうございます。
 いままでずっと成績は上位だったんですが、3年前期で一気に下位に転落しました(苦笑)
 実技試験に悩まされ続け、それが実技と関係のない他の教科にまで影響し、筆記試験の勉強もろくにしなかったことが原因です。
 でもこの転落はポジティブに受け止めています。
 今はしろいなまけもの先生の仰る通り、新しいスタートって感じがしますね。
 
 …あれ?いつのまにか「しろいなまけもの」から「生野 達也」になってますね。本名を公開されたのですね。9月中は認知運動療法を封印していたので気づきませんでした。

 では改めて、生野先生これからもよろしくお願いします。


「肩こり」について
>肩甲帯の硬さや体幹の対称性、肩関節の運動覚などに問題があるかもしれません

 今こうしてパソコンを打って気づいたのですが、肩関節の内旋角度が左>右になってました!それを同じ角度にするためにパソコンを5~6cm左にずらしました。正中がこんなにずれていたとは驚きです。私は仕事でもパソコンを使いますし、学校の勉強でもパソコンを多用していますので、今後は気をつけてみます。

 さっそく僧帽筋の「伸びる感じ」をイメージしてみます!…とはいうものの、どのようにイメージすればいいかがピンとこないですね。
 想起すべきイメージは筋感覚のイメージだと思うのですが、どうも何をどうイメージすれば良いのかがピンとこないです。視覚のイメージは思い浮かぶのですが…

 目を閉じて身体の感覚に注意してみましたが、左の肩から腰にかけて筋が緊張している感じがします。そして、上手く言えないのですが右腰部はそこに肉がある感じがしますが、左の腰部背面には肉がついていないような感じがします。そして左肩が下がっている感じがしますね。左腕が右腕よりも重たいです。
 目を閉じると右半身は整った身体がある感じがしますが、左半身はガタガタな感じです。上手く言えませんが、左半身が右半身よりも後ろにずれている感じです。

 右半身の感じを左半身に持ってくるようにイメージしたり、ズレを元に戻すようにイメージしたり、左上肢が綿のように軽くなるイメージを試みたんですがなかなか上手くいかないですね。

 でも、これは面白いですね!認知運動療法の良い練習になりそうですし、理解が深まりそうな予感がします。提案ですけど「肩こりに対する認知運動療法」は勉強会とかでやってみたら面白いかもしれません。

 さきほどイメージしてから10分くらい経ちました。プラセボかもしれませんが肩こりは多少マシになった気がします。
2009/10/18(日) 01:02 | URL | getemono #mQop/nM.[ 編集]
体験
>getemonoさんv-22

自分の身体に注意を向けてみると、発見があるものですねv-21
同時に、自分自身で訓練することの難しさを感じますv-393

自分で経験してみますと、日ごろ患者さんに求めていることが難しすぎるかもしれないと反省させられますv-21
2009/10/19(月) 07:19 | URL | 生野達也 #-[ 編集]
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