脳梗塞・脳出血や整形外科疾患の後遺症に対する新しいリハビリ方法である認知運動療法(認知神経リハビリテーション)の紹介。 麻痺や痛み・しびれの回復へ向けた日々の取り組みや基本的な考え方の紹介、相談コーナーもあります。

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先日、しびれを呈した症例についての報告をしました

その後、メールで質問をいただきました

「なぜ、力を抜いたほうが適切な情報を

収集することができるようになるのか


という質問です

キーワードは志向性運動の捉え方にあると考えました


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先日、しびれを呈した症例についての報告をしました(詳しくはコチラ

発症後、半年以上経過した患者さんです

当院で週一回の外来リハビリを開始し、

しびれの軽減や歩行能力の向上といった機能回復が得られています

先日の報告(詳しくはコチラ)では、

歩行時におけるしびれが軽減し、

久しぶりに大きな壁を乗り越えた感覚でした



セラピスト冥利につきる瞬間でした





それから数日後…





メールで質問をいただきました

以前から知り合いのセラピストで、大阪の勉強会でもお会いしたことのある方です

その質問とは…



質問内容

「なぜ、力を抜いたほうが適切な情報を

             収集することができるようになるのか


ということが私の中で良くわからないのです

確かに、不良肢位で筋緊張も亢進している患者さんに、良肢位を介助して取ってもらうと筋緊張が軽度改善して、圧覚情報が収集しやすくなったことがあったのですが…
何故なんだろうと思っていたのです。

どのように解釈すればいいでしょうか




質問していただきまして、ありがとうございます

今回は、私見をふまえて答えさせていただきます



先日の報告(詳しくはコチラ)の最後に注釈として書いたように、

認知運動療法では、患者さんの病態を

認知と経験と生物学的構造といった三項の関係から考えます(詳しくはコチラ



特異的病理といった筋緊張の亢進や

「力が入っている」という意識経験の異常

認知過程の異常が生じた結果として現れているものと考えられています



そのため、訓練を通じて認知過程を活性化することによって

適切な情報を認知することができた

結果として

特異的病理が制御され、

「力を抜く」という意識経験に変化するものと考えます



今回の患者さんでは、

「力を抜くように注意する」ことで圧覚の認知が可能になりました

本来、圧覚に注意が向けるようになった

結果として

特異的病理が制御され、

「力が抜ける」という意識経験につながるはずなのに…





どのように解釈すればよいのか





はじめのキーワードは








志向性



にあると考えます(詳しくはコチラ



志向性とは、

ある特定の情報を構築するために何かに向かうこと

と言われています



道具とセラピストの言語を通じて、

認知問題を解くためには、

どのような身体であるべきか

どのような情報が必要なのか

を患者さんに自ら気づいて、考えてもらうように導くことが重要


になります





今回の患者さんについては、評価においてヒントが隠されていました



右半身に安静時からしびれが認められます

座位では、床に接触している殿部・大腿後面・足底にしびれを認めます

歩行時では、足底に強いしびれを認め、右半身にしびれが伝わるそうです

床に接触している部位の触・圧覚に注意を向けると、

「しびれていて感じることができない」

と記述されていました



座位や立位で患側へ荷重を行うと、

患側の床に身体を押し付けるような過剰な筋の動因を認めました



その時の経験を聞いてみると

患者さん「右半身は床についているかどうかわからないから、

     力を入れて押し付けています」


患者さん「押し付けているとしびれが強くなるので、

     ついているのかなと思います」


と記述していました



この時の患者さんの志向性を考えてみます

おそらく、

患側がついているかを感じるためには、

右半身に力を入れて、しびれを感じなくてはならない


という志向性なのだと考えました





次のキーワードとして、






認知運動療法における運動の捉え方(詳しくはコチラ

を考えます



認知運動療法では、

運動は世界に意味を与える手段である

と捉えられています



運動を通じた環境世界との相互作用によって、

情報を収集します

運動は、環境と身体を関係付けるために必要なのだと思います



筋緊張の異常を呈した患者さんは、

適切な情報を収集できていない状態

と考えられます




しかし




視点を変えると、

筋緊張の異常を出現させた誤った情報でしか

世界に意味を与えることが出来ない状態


であると考えます



患者さんは適切な情報収集の方法がわからずに、

誤った情報を用いて筋緊張の異常を出現した状態でなければ、

環境と身体を関係付けることが出来ない状態


なのだと思います





今回の患者さんでは、知覚や注意の問題があります

床に接触している部位の触・圧覚情報を認知することができないために、

しびれの強弱といった誤った情報を用いてでなければ

床と身体との関係付けることができない状態


であると考えました



つまり、

しびれの強弱といった誤った情報を得ようとすると、

筋緊張を亢進させなくてはならない状態


であると考えました






運動の捉え方志向性をあわせて考えます



患者さんは、適切な触・圧覚が認知できず、

しびれの強弱といった誤った情報を得ようとすると、

筋緊張が亢進してしまいます

おそらく、この方法を生活で繰り返したことによって

患側が床についているかを感じるためには、

右半身に力を入れて、しびれを感じなくてはならない


という志向性になっているのだと思いました



床と身体が接触する前に、

「右半身に力を入れよう」

と意識することによって、

余計に筋緊張が亢進することになり、

接触している部位の触・圧覚情報がさらに認知することが困難

               になっていると考えました



そのせいか、はじめに健側を通じて触・圧覚情報に注意を向けるだけでは、

患側で認知することは困難でした





認知問題を解くためには、

どのような身体であるべきか

どのような情報が必要なのか

が重要
であり、

今回の症例では、

「力を抜いた身体」を意識することで余計な筋緊張が制御され、

必要な触・圧覚情報が認知しやすくなった
と考えました 



今回の症例では、「力を抜く」と注意するだけで

特異的病理の制御がある程度可能なほど、

注意の機能が高かったことも訓練効果が得られた一要因と考えます



どのような情報に注意を向けるか

ということだけではなく、

その情報を認知するためには

身体をどのように準備すればよいのか


ということも教えなければならないとは臨床の奥深さを感じます



<注>

認知運動療法の原則は、

「力を抜く」と注意させることではなく、

訓練を通じて認知過程を活性化し、

適切に情報を認知することが出来るようになった結果として、

筋緊張が制御され、「力が抜けた」と変化させることだと考えます

「力が入っている」と記述する裏側には、

何か適切認知できていない情報があるのだと考えます




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コメント
この記事へのコメント
No title
なるほど、
「どのような情報を必要とするか」に加えて、
「どのような身体で」ということが同時に必要になるわけですね。
ただ情報をとらえに行くだけでは特異的病理の制御には至らないということでしょうか。

訓練のどのような場面でもこの
「どのような身体で」
という視点を忘れずに観察していきたいと思います。
2009/05/20(水) 23:55 | URL | 組長 #-[ 編集]
相互作用
>組長さんv-22

「どのような身体で」ということは、
相互作用によって生まれる、
身体内部の情報と身体外部の情報
に関わってくるものと考えますv-21

例えば、圧力が強い(身体外部の情報)ほど、
身体はグッと押されて肉がへこむ(身体内部の情報)
といったことですv-48

この時に、患側の身体は「硬い」「変化しない」ということが多く、
健側の身体は「軟らかく」「変化する(へこんでいく)」といったことが多いように思いますv-354

どのような情報を得るのかに加えて、
その時に「身体にどのような変化があるのか」に注意を向けることが重要になると考えますv-352

※「身体内部、身体外部」については、ブログのカテゴリ欄の
「認知問題・相互作用・知覚仮説」をご参照くださいv-22
2009/05/21(木) 01:05 | URL | 白いなまけもの #-[ 編集]
No title
再度のご回答ありがとうございますv-33

身体外部と合わせて身体内部の情報も捉えないとダメなんなんですねv-219

臨床では身体内部の変化をとらえてもらうことが私自身まだまだ不十分な状態に悩んでます…

やはりその場合は、身体外部・内部相互的に志向性の変容があるからということになるのでしょうかv-236

それとも、一方向性のみ(内部→外部)に志向性の変容があるのでしょうかv-236

それとも他の影響なのでしょうか…

このあたりがかなり曖昧な感じですv-40
2009/05/24(日) 01:15 | URL | 組長 #-[ 編集]
病態を理解する
>組長さんv-22

患者さんの病態を考えるということは難しいことですねv-393

どのような問題かを明らかにするには、
プロフィールを取らなければわからないと考えますv-352

少し長くなりそうなので、記事にさせていただきたいと思いますv-278

よろしくお願いいたしますv-22
2009/05/24(日) 11:51 | URL | 白いなまけもの #-[ 編集]
No title
すみません、ついつい聞きたいことが多くなってしまって…。
よろしくお願いしますv-22
2009/05/27(水) 22:59 | URL | 組長 #-[ 編集]
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